2011年12月27日火曜日

46項目の疑問・要望・提案など

12月3日(土)に、住民説明会が開催されたことは、すでに書いたとおりです。
この説明会で、まずは設計者として案の骨子をお伝えしたわけですが、その内容について、その後、いろいろな疑問や要望や提案をいただいています。そうしたご意見を頭にいれて設計を進めるのはもちろんのことですけれど、そのひとつひとつに個別の返信はできません。ただ、村川真一さんからいただいたものは、おそらく、多くの方々が気にされていることをかなり網羅していると思いますので、そのひとつひとつについて、今現在、考えていることを記してみます。

*建物全体について
01.  日影,特に西側の住宅への影響は検証済みでしょうか?

西側だけでなく北側に隣接する土地への、日影の影響を考慮するのは当然のことです。

02. 敷地自体を持ち上げるとなると,柱も太く・大きくなると思われますが,300台の駐車スペースをとる余裕が本当にあるのでしょうか。また,駐車場の中の移動はスムーズにできるでしょうか?

敷地全体を持ちあげるのではなく、施設全体を持ち上あげる計画です。その下の空間だけで300台の駐車スペースをとれるまで施設の建築面積を大きくするのはかなり非効率に思われますので、その適切なバランスを、今後、設計のなかで、見つけていきたいと思います。

03. 地震対策など建物構造的に大丈夫でしょうか。地震対策は,免震にできる費用的な余裕はないでしょうから耐震で良いと思います。

そう、考えています。

04. 持ち上げた敷地の北側にホールの建物が配置されておりますが,加重のバランスは大丈夫でしょうか。

ねじれ等が起きないよう、構造解析を進めます。

05. 地盤の土壌改良又は,くい打ちなどは必要ないでしょうか。

現在、地盤調査の準備を進めているところです。その結果、どのような基礎が適切かを検討します。今のところ、5m程度の杭打ちを想定しています。(これは、建物を持ち上げたからというのではなく、どのような設計をしたとしても同じことですが。)

06.  敷地5mをあげることに費用がかかりすぎて,大ホール機能がたいしたものにならないことはないでしょうか。

大ホールに求められている機能を落として、その分の費用で施設を5mあげようというわけではありません。必要な機能を満たした上で合理的な建築とすることで、全体のバランスを最適なものにしようとしています。

07. 敷地が上がるのでそこから人(特に小さい子どもなど)が落ちないように安全面に留意してほしいです。

仰せのとおりです。

08.  スロープの安全面もお願いします。

仰せのとおりです。

09.  駐車場から直接上がれるエレベーターや階段・スロープなどをつければ,屋外のスロープに屋根は必要ないと思います。(その費用は内装や設備に使ってほしい。)

アプローチ、つまり駐車場に車をとめ、そこから上に登る方法は、これからかなりよく考えていかなければならない大きな課題だと思っています。説明会では、雪のときにスロープだと滑るのではないか、という指摘をいただきましたし、また、開演前に大勢の人が並ぶようなことも想定しなくてはなりません。さまざまなケースを落としなく考慮の俎上に乗せ、もっとも合理的な計画にもっていきたいと思います。

10. 外観に三次らしさがほしいという意見もありましたが,コンクリートに霧模様を付けるとかで最小限でよいと思います。(その費用は,機能性や設備の向上に使ってほしい。)

機能的には必要もないのに、これが「三次らしさ」だという理由でなんらかの表面的な意匠をつけ加えることは行いたくありません。シンプルな骨格とそこに必要に応じて施される意匠、というのが、私たちが進んで行きたい設計の方向です。もしそれが徹底的に行なわれれば、その結果として「三次らしさ」が生まれるはずだと考えます。また、そうしたことを行なっていくことは、その建築をそれが建つ環境にフィットさせることとなんら反目するものではありません。

*建物内の配置について
11.   事務室はどこに配置するのでしょうか。

プロポーザル時のスケッチには描かれていませんが、エントランスロビーの近くに配置するつもりです。

12. カフェと事務室を離すと,管理運営上カフェにも人を配置しなければならず,運営経費が増すのではないでしょうか。

サービスする人が必要かどうかも含め、これは運営の方式に関わります。なるべく早い時期に、誰がどのように運営していくか、決めていだきたいと思っています。私たちが想像しているのは、カフェと言っても、コーヒーやお茶が飲め、談話や勉強やデートにぴったりの、背筋をのばした快適さをもった、ラウンジに近い空間です。その場合は、テーブルと椅子があればよく、セルフサービス程度でよろしいか、と思っています。

13. これからの話になるとは思いますが,カフェは常時オープンしているのですか。集客が見込めるか疑問があります。常時オープンするのなら,川が見えるような眺めがよい場所がよいのではないでしょうか。(高さ・位置の工夫)

前のご質問を重なりますが、大勢の集客を目標とするものではなく、この施設の魅力のひとつになる場所をつくることを、設計者としては目標としています。川が見えるような眺めのよい場所、というのはよいアイデアだと思います。カフェだけでなく、川が見える空間は、特権的な場所になると思います。

14. カフェがプチ図書館,自習室という設定なら少しは,需要があるかもしれません。

はい、音楽や演劇関係の本や雑誌をとりそろえたライブラリースペースでもあったら、とてもよいと思います。

15. 練習場が大ホールと離れていますが,駐車場からのアクセス(駐車場から直接行けるようにすること)や管理運営上の観点(事務所を通るとか)などのアクセスの工夫が必要ではないかと思います。

練習室だけでなく、この施設のさまざまな部屋へのアクセスのあり方は大変重要な課題だと思っています。今後の設計のなかで、詰めていきたいと思います。

16.  練習場などに和室はないのですか。大楽屋でもいいので,和室が会った方が日本舞踊などの練習ができるのではないでしょうか。

「必要諸室」としていただいた資料では、部屋数に限りがあり、「和室」はありません。しかし、もちろん日本舞踊などの稽古もあるでしょうから、畳を簡単に敷けるような配慮は必要だと思います。

17. 練習場の一つに,バレエ,ダンス,演劇,オペラなどの練習ができるように鏡張りの部屋をつくってほしい。

練習室のひとつには、バレエバー+鏡(カーテン付)を設置したいと思います。

18.  ワークショップ委員からは,100~300席程度の(固定席の)小ホールが必要と提案しましたが,市の最終基本計画では,小ホールとしても使用できるリハーサル室となってしまいました。よって,リハーサル室にも音響がよく,椅子も簡単に設置できる小ホール的なリハーサル室にしてほしいと思います。(青木先生が考えるホール機能(大ホール分割使用方法)が音響のよい小ホールとしての機能があるならリハーサル室の音響はそれほど考えなくて良くなると思いますので,ワークショップ委員(本当に使用するつもりの市民)との意見交換をお願いしたいと思います。

これは重要なご指摘です。もっともニーズが高いのが、100~300席程度の(特に音楽関係の)利用だと理解しています。そこで、大ホールを大ホールとしてだけでなく、100~300席程度の(特に音楽関係の)小ホールとして使用できるようにすることが、この三次市民ホールの設計の肝だと考えています。そのとき、音響は、もちろん、すぐれていなくてはなりません。
そのことを前提として、「リハーサル室」は様々な用途で使える空間になったらなあ、と考えます。

ホール機能について

19.   大ホールの残響時間はどれくらいを想定していますか。

1.7秒から1.8秒ほどを想定しています。ただし、演劇や講演ではその残響時間では長過ぎ、音の明瞭度に問題がありますので、客席の後ろに(手動で)幕を引くなどして、1.2秒くらいまで残響時間を短くできるようにしようと考えています。

20. 1階席が少し平たい印象を受けますが,舞台・客席の高さは適切なものをお願いいたします。

客席からのサイトラインをチェックし、そのことに気をつかいます。

21. 座席は,前後互い違いになるようなものになるのでしょうか。

客席の勾配が計画上大きくとれない場合には、そうなると思います。

22.  座席のクッションは座り心地がよく,長時間見ても疲れないようなものにしてほしい。

仰せのとおりです。

23.  ホールは寒くないようにしてほしい。費用的に無理だと思いますが,できればヒーター付きの座席が希望ですが,できなければそこまで言いません。(以前,三次文化会館に劇団四季を見に来たお客さんが,「こんな寒いところで四季を見るのは初めて」と言っておられた。)

客席の周辺を集中的に空調(居住域空調)しようと考えています。椅子そのものに空調吹き出し口を設置できるのが、もっともよろしいかと思いますが、これは全体のコストバランスによって判断したいところです。もちろん、寒くなく、暑くなく、快適なホールをつくりたいと思っています。

24. 椅子は,ゆったりと見ることができるように最近の趨勢の基準程度でお願いいたします。

現段階では、w520以上、前後900以上で計画することが望ましいと考えています。

25. 1階500席,2階300席,3階200席とありましたが,1階席だけ使いたいときは,2階席,3階席はカーテンもしくは反響板などで塞ぐようにするのですか。(音響を良くしてほしい)

カーテンを設置すると、吸音になる可能性と空調で揺れる可能性があり、それが懸念されます。また、ハードなもので閉じるのは、やはり気積が変わるので、残響時間に影響する恐れがあります。ホールの最近の傾向としては、お客さんを入れないところの照明を消すなどで対応することが多いです。もちろん、そうした使用方法で違和感がないよう、設計する必要があります。

26.  舞台は使用しないで1階席のみ使用のとき,オーケストラピット的な場所は,座席がはずれるようになるのでしょうか。また,その場所は,床張りとなり,せり上がるなど(または移動式舞台を設置?),客席からみて,舞台として違和感がないような感じになるでしょうか。

また,ピアノを移動して,置くことができるでしょうか。

オーケストラピットの場所は、オーケストラピットとしての使用以上に、舞台とも客席ともなることが重要だと認識です。実際、現在の市民会館38年の歴史で、オーケストラピットが使われたことはない、と聞きます。ですから、今後、それを「オーケストラピット」にまで整備するかどうかは、全体のバランスを見て決定していくことか、と考えます。
舞台として使用するときには、ピアノをそこに移動して置くことができます。

27.  舞台は使用しないで1階席のみ使用の場合,本舞台との仕切りは,緞帳のみですか?反響板などはつきませんか?

音響を考えれば、緞帳的なものでは解決できません。これも重要な設計のポイントですので、永田音響ともよく相談しながら、かつ工事を睨んだ仕様検討を行なって行きたいとおもいます。

28. 舞台に観客席を置くのは,下手側を開放するときのみですか?舞台のみで音響のよい小ホールのようになりませんか?

舞台への観客席の置き方は自由です。音響に関しては検討の余地はあるかと思いますが、一般的には舞台内は吸音で設計されることが多く(後ろ壁などからの遅れた反射音が客席に響かないにするため)ので、生音楽にとっての「音響のよい」空間というのは難しいかもしれません。ただし、ホールを鑑賞利用しないときには、独立した大きな練習場として使用すること検討していく必要がある、と考えています。

29.   舞台の上手から大道具などを搬入するとなれば,下手には,バトン昇降機などの舞台装置が配置されると思われ,開放して,中庭が見えるようにするのは困難であると思いますが,本当に可能なのですか。

全ての吊物設備をすのこ上での「電動ドラム巻取式」で計画することで、下手壁面に「綱元」を設けないようにすることはできます。ただ、これも全体のコスト・バランスのなかで決めて行く必要があります。

30.  舞台の観客席は,移動式の可動椅子でしょうか?であるならば,リハーサル室に持っていけるようにして,リハーサル室でも使用できれば良いと思います。

リハーサル室の椅子を使うこともできます。また、段が必要であれば、単管足場なのでくみ上げることもできます。

31. 現在の三次文化会館の舞台は檜造りでかなり良い素材が使われていると聞いています。それを何かに再利用できませんか?できなければ,現在の文化会館跡地にできる道の駅的施設に使ってほしい(こちらは,市への要望)。

なるほど、そのリユースができるといいですね。

*その他設備について

32. 照明,音響(マイク)設備については,コンピュータ管理できる最新のものとして,あまり人手がかからないものとしていただきたいです。

現在では、舞台機構、舞台照明、舞台音響とも、コンピュータ管理できるデジタル制御が基本です。この施設でも、それらが採用されることになるか、と思います。ただ、高性能であればあるほど、その性能を活かしていくためには人材が必要ですし、また安全な運用を実現していくためにの監視要員も必要になります。つまり、デジタル化は、残念ながら、人材の省力化にはつながるわけではありません。

33. 楽屋は,普段は会議室でも使用できるものにしたら良いと思います。

仰せのとおりです。

34.  ピアノをおく部屋(空調付き)の部屋が必要だと思います。出し入れしやすく動線が短い場所が良いと思います。

温湿度管理ができる「ピアノ庫」あるいは「楽器庫」を計画することが望ましいと考えています。

35.三次文化会館には,グラントピアノが2台(スタンウェイとヤマハ)ありますが,スタンウェイが入ってからヤマハはほとんど使っていないと思われるので,リハーサル室に置くとかして使えるようにしてほしい。

情報をどうもありがとうございます。

35. トイレには,温水洗浄便座を設置する予定ですか。(儲かる施設でないので,困難かもしれませんが,他のホール等と比較して,現在の趨勢で設置しているようなら設置してほしい。)

温水洗浄便座の是非の前に、まずは「洋便器」と「和便器」の比率の検討が必要です。一般的には、「洋便器」の設置が急速に増えています。しかし、三次ではどうか、をよく検討したいと思います。ちなみに、便座ウォーマの設置も増えていますが、洗浄便座の設置のケースはそれよりも少ないようです。

36.  避難路などのため,建物敷地から下の敷地への出口(階段・スロープ)を数箇所かつける必要があると思います。

仰せのとおりです。

*管理運営等について

37. 日常の維持管理が困難な設備配置は,やめてほしいです。(たとえば,すごく長いはしごを使って登らないと電球を変えられないような照明など)

仰せのとおりです。

38. 大回廊を設置するとなると,文化祭や祭など屋台やバザーなどが並ぶ催し物ができますね。

大回廊が、三次のもうひとつの「街路」になるよう、がんばりたいと思います。

39. 交通渋滞はある程度は仕方がないと思います。道路へ入りやすく出やすい侵入口にするしかないのではないでしょうか。(地下駐車場への進入出道路を2箇所以上にする必要はあると思います。)

駐車場の管理システムについては、検討が必要です。いずれにしても、なんらかの管理が必要でしょう。その場合、入口ゲートは1箇所の方が管理しやすく、出口ゲートは複数箇所あったほうが渋滞などのトラブルと軽減すると思われます。

*追加の質問

40. できれば,2階・3階席へ行くのに,車椅子や足の不自由な方でも行けるようにスロープになっていればよいと思いますが,難しければ,エレベーターと階段でもよいです。

スロープで登るのは、相当の距離(4m登るのに50m以上)移動しなければならないので、必ずしもスロープの設置が最良とは言えません。計画全体で最適な方法を見つけていきたいと思います。

41.  バリアフリー席(車椅子で見れる席)が必要であると思います。

車椅子席の設置台数が条例で定められているところや、福祉協議会からの要望で設置台数が決められているところがあります。そのため、現在、市に確認中です。また、ホールの場合、中通路の後ろあたりに車椅子を設置できるスペースを確保するのが一般的になりつつあります。

42.  確か,基本計画には親子席(部屋)を設置することとなっていたと思いますが,最近は,子ども預かりを実施し,利用が少ないということなので,私としては,なくても良いと思います。(親にとっては,落ち着いて見ることができないし,子どもにとっては,狭い部屋となり,窮屈で退屈になるため。)

仰せのとおり、隔離された部屋で音楽や演劇を楽しむというのは、本来の趣旨から言えばおかしなことですので、お書きになっていらっしゃるように判断されているところもあります。しかし、親子席を席として売るのではなく、親子で通常の客席で鑑賞している時の緊急避難場所(子供がぐずりはじめたり、泣き出してしまった場合)として設置するところも少なくありません。また、障害者で声が出るのを制御できない方が鑑賞される場合や、上演写真を撮影するのにシャッター音が気にならないよう隔離された部屋で行なう場合、同時通訳ブースとしての利用、アナウンス用ブースとしての利用が考えられますので、「親子室」ではなく、「多目的室」として計画することも少なくありません。

43. 当然のことですが,2階・3階席からも舞台が良く見えるようにしてほしい。(ホールの形状が四角であったので,横の席から見にくくなるのではないかと思ったので,念のため。)

サイトラインのチェックは見下げも大事ですが、バルコニー客席下からの見上げのサイトラインも十分にチェックする必要があります。

44.   映画などが上映できるようにしてほしい。(最近は,プロジェクターなのどの上映機器は,業者が持って来ることができるので,それらを設置できる場所,電源などを備えればよいと思います。余裕があれば,上映機器も導入していただきたいですが・・・。)

35ミリや16ミリの上演機能を持たすと映写機が必要なだけでなく、専門的なオペレータが必要になります。実際には、仰せのとおり、最近は、プレゼンテーションも可能なプロジェクターの導入の方が主流かと思います。ただし、「名画上映」のようなことを行なうには、映写機の設置が必要になります。このことについても、総合的な見地から決定するべきと思います。

45.   三次市には,三次ケーブルビジョンという地元ケーブルテレビ局があり,よく発表会などを撮影してテレビで流していますが,それらテレビカメラを設置できる場所を確保し,集音等ができる装置及び電源を備えてほしいと思います。

ガラス越しでは映像収録はできませんので、カメラは客席でまわします。専用ケーブルの敷設の有無は、その使用頻度によるかと思われます。とくに、デジタル技術の進化は激しく、今、使っている信号線がつかいものにならなくなることも多く、一般的には、仮設対応(必要時にケーブルを引き回せるルートやピットを設ける)を原則としているようです。このことについても、総合的な見地から決定するべきと思います。

46. 上記2つのことは,後からでは,うまく付けられないということなので,当初から設置してほしいと思います。

できたら、基本設計完了時までに、設置の有無を協議し、結論を出したいところです。